生牡蠣食わせろ

妊婦が生牡蠣食うまでの記録

産んだら生牡蠣

妊娠してびっくりしたのが、つわりには種類があるということ。


食べると吐いてしまう「吐きつわり」、逆に食べてないと気持ち悪くなる「食べつわり」、眠気やだるさがひどい「眠りづわり」、においで吐き気を催す「吐きづわり」、よだれがたくさん出る「よだれづわり」などなど。これらの症状が複数当てはまる人もいれば、つわりを経験しない人もいる。


「妊娠したらつわりでグレープフルーツしか食べられなくなるんでしょ痩せちゃうじゃん〜」と思っていたので、このバラエティ豊かさに驚いた。


私は主に「食べつわり」がひどく、サブで「吐きつわり」「においづわり」という感じ。

妊娠5週ごろからうっすらとつわりが始まり、段々とキツくなっていく。ピークは12週くらいで、つわりが完璧に落ち着いたのは20週ごろだった。永遠に終わらないかと思った。日付が変わるたびに「16週ごろにはつわりが終わるらしい、あと◯日」と指折り数えたし、16週を超えてからは「あと何日で終わるんだろう」と早く終われという希望と本当に終わるのかという絶望を持って過ごしていた。人生で最も長い15週間だった。


その間ずっと「お腹が空くと気持ちが悪い」。その気持ち悪さが不快なので常に食べていた。お腹が空かないように。


今まで食事制限やダイエットを難なくこなしていたし、朝ごはん抜きで昼夜食べたら満足、甘いものもそんなにいらない体だったのに、朝起きたらとりあえず何か食べなければ吐き気で死にそう、というのは地獄だった。「お腹空いたから食べる」は幸福でも、「お腹いっぱいじゃないから食べる」はしんどい。


そうなると食べるのが嫌になりそうだけど、まったくもってそうはならなかった。毎晩「明日は何を食べようか」とスマホでおいしそうなごはんを眺めていた。何していても気持ち悪い、食べてる以外気持ち悪いとなると食がいちばんの娯楽になる。


においづわりで炊事はできないので外食かお惣菜。住んでいる街のランチとスーパーやコンビニのラインナップにめちゃくちゃ詳しくなった。


吐きつわりのせいでお腹が空いたら吐き気がするし、食べても吐く時もあるし、お腹いっぱいになると吐くし、食って吐いての繰り返しだった。それでも食べたい!だった。何なら吐いたらしばらく楽だからガンガン吐いちゃえ〜摂取カロリー減るし!と思っていた。考え方が過食嘔吐


そんな食に囚われまくる生活にシフトした。この変化が怖くてググったら、妊婦は結構「ハマり食い」をするらしい、ということが分かった。つわりでしんどくても無性に◯◯が食べたい!それしか食べたくない!となりがちとのこと。たしかに「妊娠して吐きつわりで気持ち悪いけどグレープフルーツは食べられる」もその類かもしれない。私はグレープフルーツじゃなかったし日によって食べられる(食べたい)ものが変わるタイプだったけど、食べたいもの以外食べられなかった。特定のものがしばらく食べたい時もあった。これもある種のハマり食いだろう。


そう、「日によって食べられるものが変わる」のおかげで、妊娠初期は食べることしか考えてなかった。いろいろあって私は妊娠発覚からずっと仕事を休んでいて、本当に、食べることしか考えていなかった。


つわりが終わったら落ち着くかと思いきや、食べつわりのせいで食べグセがついた。吐かなくなったのに食べる量は変わらないので、中期から体重増加が顕著になった。あとやっぱりコロナ禍だったり後期は切迫早産になったりで外に出られなくて「食がいちばんの娯楽」が継続している。


ただ、それを抜きにしても妊婦の食に対する欲深さってこんなにすごいの?と自分でも引く。特につわりが落ち着いた妊娠中期から後期にかけては、食欲にストップがかけられない。胃はいっぱいなのに脳が求めている。意味がわからない。妊婦の食欲やべえ。


ちなみに妊婦には避けるべき食べ物がある。大好物である生牡蠣(食中毒)、ブルーチーズなどナチュラルチーズ(リステリア菌)、生ハムやユッケやローストビーフなど生系の肉トキソプラズマ)など。マジかよ。妊娠前は生牡蠣と生肉と生チーズのために生きていたのに。なのに我慢して食べてないのえらすぎる。禁酒も未だかつてないほど続いてる。産んで授乳終えたら夫に子ども任せて生牡蠣を生ハムで巻いてブルーチーズのせてシャンパンで流し込む。あ〜〜〜生牡蠣食いて〜〜〜!!!!!


そんなこんなで食べることしか考えてない妊婦生活なので、食べることについて書いておこうと思った。これは私が生牡蠣を食うまでの記録である。


2022.3.24